意識障害の治療研究会として発足、日本意識障害学会。

お知らせ

気管切開後に気道狭窄、カニューレ抜去について

2013年 3月 18日

Question

72歳になる母のことで相談します。2年前にくも膜下出血で遷延性意識障害になりました。気管切開をしていますが、気管切開部から出血を起こし、気管が狭くなり、カフ付きカニュ-レが入らなくなりました。現在この治療で入院中ですが、主治医の先生が耳鼻科の先生に相談して、気管カニュ-レを抜くか、気管を広げる手術が必要と言われています。カニュ-レを抜いてしまって大丈夫でしょうか?

Answer

相談票を拝見しました。気管切開についてのご質問ですね。
一般論として長期に気管切開を行うといろいろと困難な現象が起こってくることがあります。気道の狭窄はその中でも重要で頻度の多いものです。私の担当した患者さんも気管切開をして長期に経過されている方が多くいますが、時としてこのような状態が起こり、耳鼻科の専門医に治療をお願いすることがあります。

気管は息を吸い込む時は気管の内圧が大気圧より陰圧になりますから、気管の壁には陰圧になっても内腔がつぶれないように気管軟骨というリング状の軟骨がたくさんあり、ちょうど掃除機の蛇腹管のように陰圧になっても気管内腔を保つようになっています。炎症などにより気管軟骨がなくなってしまうと気管壁が柔らかくなり、吸気時に内腔が狭窄する気管軟化症がおこることがあり、この場合は気管形成術などの処置が必要となる場合があります。

また、肉芽形成による気管狭窄もよく見られるもので、肉芽の大きさ、位置、堅さなどにより対処方法は大きく違ってきます。肉芽ができる原因としては機械的な刺激、繰り返す炎症などに対し、気管の壁の組織がそれに対する修復機序として組織を再生する際に過形成として盛り上がってくる場合が多いようです。気管カニュ-レが長期に入っている場合は呼吸運動や吸痰の時のむせなどの動きでカニュ-レが気管壁を機械的に刺激し、その接触部位に肉芽形成が起こります。従って、その部分の肉芽が手術で取り除かれても、同じカニュ-レを入れていれば同じ部位が刺激され再発する可能性が高くなります。また機械的刺激がなくなれば肉芽が除々に縮小してくる場合もあります。もちろん、カニュ-レが抜去できれば、機械的刺激に対しては条件が良くなりますが、吸痰や誤嚥に対応するために抜去が不可能なケ-スも多くあります。カニュ-レの材質によっても気管に対する刺激は多少違うようです。カニュ-レには多くの材質や形態がありますので、より適当と思われるものに交換して様子を見るのもよく行われます。

以上の内容から、長期の気管切開で起こる気管狭窄に対しては様々な対策が考えられることがご理解いただけたと思います。具体的にどの方法をとるかについては、個々の患者さんの状態により大きく変わってきますので、ここでは具体的にお答えすることができません。具体的な方法については上記の内容を理解された上で、現在の担当されている耳鼻科の先生とご相談ください。

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