意識障害の治療研究会として発足、日本意識障害学会。

お知らせ

GCSの判定について

2012年 8月 17日

Question

意識障害患者が入院している障害者病棟で勤務している看護師です。今回医師によって見解が分かれ対応に困った為お問い合わせさせていただきます。GCSの判定で、M(運動分野)で四肢は痛刺激で全く動かないが、呼名で開眼し、瞬きでイエス・ノーが答えれる患者さまの判定に困りました。四肢の反応はないから、M1という声や、命令に従うからM6という意見があります。どのように判断したらよいでしょうか?ちなみに閉じ込め症候群の要件には当てはまらないそうです。

Answer

「GCSも、JCS同様、急性期意識障碍スケールですので、未だ、自発的開眼が見られない、しかし呼び名で開眼できる状態(JCS=10)だと理解します。そういう状態ですよね。もし自発的開眼がみられるようでしたら、すでに慢性期に入り、植物症患者のように、mortalityより、morbidityが問題になります。

GCSでの判定では、E=3, M=1までは確かです。四肢の反応は、命令に従うからM6という意見は違うと思います。Vに関しては、開閉眼に応答しているので、言語理解が可能と言えます。もし瞬きで見当識があることが判明すれば、V=5となります。 したがってGCS=9(E=3, V=5, M=1)となります。

この場合患者の状態は、施錠症候群の可能性がありますが、その他の運動性脳神経の状態など、患者さんを診ていませんので、なんとも言えません。GCS判定では、これ以上の解析は不可能です。

しかし、E, V, Mのいずれかが、E=4, V=5,またはM=6である場合、今回のようにGCS=9であっても、意識内容は正常、最低限、覚醒状態だと言えます。もっと分かり易い例は、E=4の場合の組み合わせ、改訂10版『脳神経外科学』207頁、表7での、E-4を含むGCS=6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14の計29組は、すべてJCSでは一桁になります。なお、先月出版しました、11版207頁での表3-3-7(10版の表7に相当)ではミスプリがあります。E-3の配列で、scores 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15 と なっているのは、scores 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14が正しい。お詫びして訂正お願いいたします。

triage-tagからもわかるように、急性期意識障碍で重要な障碍要素は、頭蓋内圧亢進状態を示唆する意味での覚醒要素が重要で、意識内容はあまり問題になりません。その意味では、GCSよりJCSの方がよいスケールだと思っています。

意識障害学会 理事 太田富雄

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